D-274
奥行き274cm、荘厳とも言うべき佇まいのコンサートグランドの頂点を極めるモデルです。
世界を代表するピアニスト、そして最高水準の音楽的表現を追求する方々から圧倒的に支持されています。
“Steinway Model Dを弾き始めると、演奏が変わります。他のピアノとは別の生き物のよう。このピアノを所有できるのは光栄なことです。”
Mitsuko Uchida
Steinway Artist
Specifications and Design
■ サイズ/重量
奥行:274cm
横幅:157cm
重量:約500kg
■ 支柱
5本の頑丈なスプルース無垢材の支柱(47,637㎤)されています。スプルース材は、軽量ながらも優れた伸張強度を備えています。メープル材のダボで支柱をリムに固定することで、一体化した強固な基盤を形成し、その上にピアノ全体の音響構造が組み立てられます。また、鉄製のトレブルベルがリムの裏側のトレブルベンド部分に取り付けられ、スチールボルトによってプレートをしっかりと固定します。さらにスタインウェイ&サンズでは、鉄のくさびで支柱の端を奥框にしっかりと固定し、リムの形状を永久に保持します。
■ スケール(弦の配置)
交差弦、混合アグラフ、前方および後方のデュープレックス構造。
張力:20,418kg
■ 響棒
響棒には耐久性に優れた樹脂を含むサトウマツが使用され、響板の上に張られる弦を常に強力にサポートしています。響棒の端は手作業で精密にカッティングされます。
■ チューニングピン
最高級ブルースチール、防サビ・ニッケル加工のヘッド。
■ 弦
高音弦:高張力のスウェーデン鋼を使用した12本の全弦と1本の半弦。
低音弦:スウェーデン鋼の芯線に純銅を巻きつけた低音弦。
最長:アグラフ / ブリッジ(駒)の長さは201cm。
■ ハンマー
防虫・防湿加工を施した、プレミアムウールのトップフェルトとアンダーフェルト使用しています。圧縮ワイヤーで永久に形状を保持し、堅木メープルを使用したハンマー成形およびシャンクを採用しています。
■ ダンパー
効果的なダンパーを実現するために横切りされたプレミアムウールを使用し、耐久性のためにメープル製のヘッドを使用しています。
■ 鍵盤
鍵盤ごとに重量バランスを計測したヨーロッパ産スプルースを使用しています。欠けにくく、汚れにくい白鍵と滑りにくい黒鍵を実現しています。最長の鍵盤の長さは62.2cmです。
■ 棚板
柾目スプルースの厚板を使用しています。横方向と縦方向のバーチの厚板が、湿気を逃す通気システムの役割を果たします。棚板の反りと逆方向に反ったアクションフレームを密着させることにより、鍵盤の動きを安定させ、演奏中の「ばたつき」を防ぎます。大きなメープル材のダボが埋め込まれた棚板は、タッチを制御する調節可能な真鍮製ねじ(ベッティングスクリュー)を支えるしっかりとした土台となっています。厚さは4.45cmです。
■ ペダル
重厚な真鍮製。
ソフトペダル(ウナコルダ)、ソステヌートペダル、ダンパーペダル。
厚さ約8.3cmの長いリム板を曲げて一体成形する工法は、ピアノ製作における最も重要な技術革新の一つです。このリムが、スタインウェイのグランドピアノの一台一台に美しさ、安定感、確かな品質を与えています。スタインウェイD-274のリムは、17層もの堅木メープルを重ね、アウターリムとインナーリムを同時にプレス加工する方法を採用しています。この製法によって、世代から世代へと受け継がれるスタインウェイの耐久性を実現しています。このユニークなリム工法は、1878年にスタインウェイ&サンズによって開発・特許取得されて以来、すべてのスタインウェイグランドピアノに採用されている重要な要素となっています。
響板は、スタインウェイグランドピアノ、またはアップライトピアノの心臓部にあたるものです。そのため、設計面でも木材の選定の面でも細心の注意が必要となります。最高品質基準に見合うよう、木目が揃い、年輪が最低基準数に達している最高級シトカスプルースのみを使用しています。スタインウェイの振動膜の原理にのっとった響板の製造は、1936年に取得した特許に基づいており、ppからffまでのダイナミックレンジの広さと音の伸びを最大限可能にしています。響板を中心から端に向かって徐々に薄くすることで最大限の柔軟性を持たせ、比類なき豊かな音色、響き、伸びのある音を実現しています。
ヴァイオリンの響板と同じく、全音域にわたって自由で均一なレスポンスを与えるため、スタインウェイD-274の響板は、中央の厚さが9mm、リムとボディーに近い部分は6mmのに薄くなり、両端が薄いクラウン形状となっています。この設計により、完全に自由な動きを可能になり、より多くの空気を振動させることで、豊かで余韻の長い音を生み出しています。響板には、木目の細かい柾目のシトカスプルース(圧力や振動に対する類稀な安定性と対応力を持つ)のみを使用しています。
素材が上質であればあるほど、音が良くなります。スタインウェイ&サンズの響板ブリッジは、横方向の木目を持つ木材を垂直に重ね合わせ、上部にはメープル無垢材をキャップとして使用しています。正確にそれぞれの弦に対応するよう、各ブリッジには手作業で切り目を入れています。この設計によって、弦から響板への音の伝達が最大限になり、伸びやかに共鳴する音が生まれ、スタインウェイの比類なき音色を作り出しています。
1963年、スタインウェイはヘキサグリップ ピンブロックを導入し、調律した状態を長く保持し、驚くべき精度で調整することが可能になりました。特許を取得したヘキサグリップ設計は、柾目の堅木メープルとブビンガを6枚重ねで貼り合わせています。木目が45度と90度の角度で交互にずらして貼られており、チューニングピンの周囲で均等に木目方向が配置されています。これにより、ピンのグリップ力が向上し、トルク下でのスムーズな動き、均一な保持力を実現し、長時間にわたって調律を維持します。
高音域の駒は、縦方向にラミネートされた堅木メープルに堅木メープル無垢材のキャップを採用しています。高さが均一になるよう削られたあとに黒鉛でコーティングし、手作業で穴開け、駒欠きをし、各弦の角度を正確に調整することで、駒割れを防ぐ設計となっています。低音域の駒は、高音域と繋がっており、メープル材にダボ接合されています。
ピアノの内部の弦には、常時最大20トンもの張力がかかっています。鋳鉄製のプレートは、この非常に大きな力を支え、ピアノの寿命にわたって強度と安定性を提供する役割を担っています。スタインウェイ&サンズは、独自の高品質な鋳型を使用し、弦の張力を支えて振動を軽減し、音の響きを際立たせています。の部品はスタインウェイピアノの構造にとって不可欠なものであり、スタインウェイ&サンズは自社の鋳造所を所有・運営しており、厳格な仕様に基づいて鋳鉄製プレートを製造しています。プレートは頑強なねずみ鋳鉄製で、CNC加工および表面処理された後、ブロンズ仕上げおよびラッカー塗装が施されてます。